【情シスコラム】元SIerが事業会社の社内SE(情シス)で感じた魅力を紹介

社内SE・情シス
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今回の記事では、SIerに10年ほど勤めたのち非IT系事業会社の情シスに転職し、その後、事業会社2社の管理職を経験した私が、社内SE(情シス)のお仕事の良いところや楽しいところ、IT企業にはない魅力などを幅広く紹介していきます。

尚、どんな仕事であれ、実際には良いことばかりではないのですが、今回の記事では社内SEのお仕事にもっと興味を持ってもらえるように、良い部分に絞ってまとめます。

 
 

社内SE(情シス)の仕事内容について

まず最初に、一般的な社内SE(情シス)の仕事内容について簡単に紹介していきます。

社内SEは企業内におけるITの専門部署として、IT全般の管理や運用を担当します。

尚、所属している企業の業種や規模、組織構成などの様々な要因により具体的な仕事内容は変わるため、以下にあげる仕事内容をどこの社内SEでも担当しているとは限らないですが、一般的にはこれらの仕事内容のすべてだったり、これらの一部は必ず社内SEの担当業務として割り当てられていると思います。

ヘルプデスク等ユーザーサポート業務

自社従業員からパソコンや社内システムなどに関する質問やトラブルの問い合わせを受け付けて個々に対応したり、自社従業員が社内ITを円滑に利用できるように支援します。
社内SEの代表的な業務の一つです。

パソコンや複合機などの電子機器の管理

自社内で従業員が使用しているパソコンやタブレット端末、複合機などの様々な電子機器の管理をします。
パソコンなどの端末の調達やセットアップを行い、OSのサポート期限や機器の保守期限などを見ながら適切な時期に入れ替えを行うなどの業務があります。

システムの運用や開発

自社内で使用されている様々な業務システムの運用業務を担います。
社外のシステム開発会社が構築した業務システムの運用をしつつ、そのシステムの改修が必要になれば、システム開発会社と調整しながらプロジェクトを進めます。
また、外注せずに自社内で業務システムの開発を行う場合もあります。
スクラッチで構築したシステム以外にも、パッケージの業務システムやSaaS型のアプリケーションの導入なども担当します。

ネットワークの構築運用

自社内で使用しているネットワーク全般の構築や運用を担います。
拠点間のネットワークをVPNなどで接続したり、拠点内のLAN環境を管理します。
尚、LAN環境は有線LANだけではなく、タブレット端末などのモバイル端末を使用している場合はWiFi環境も用意します。
社外のSIerに構築や運用を全般的に委託している企業もあれば、自社で社内SEが構築や運用をしている企業もあります。

サーバーの構築運用

自社で使用している様々なサーバーの構築や運用を担います。
企業ではActiveDirectoryやファイルサーバーなどの管理系サーバー、IISやApache、RDBMSなどを構築して業務システムを稼働させている業務系サーバーを複数運用しています。
物理筐体を自社内に設置して運用していたり、IaaSなどのクラウド環境を契約して利用するケースなど形態は様々です。
社外のSIerに構築や運用を全般的に委託している企業もあれば、自社で社内SEが構築や運用をしている企業もあります。

セキュリティ対策

情報システムに関する様々なセキュリティ対策の立案や運用を担います。
従業員が使用するパソコンに対してセキュリティソフトを導入し、コンピューターウィルスの感染対策を実施したり、IT資産管理ツールやMDMを導入して端末の操作ログの収集や監視をします。
また、セキュリティ対策のルールや規程の策定にも関与し、それらの運用も行います。

IT統制の構築と運用

ITのリスクを管理して適切にコントロールするためのルールを構築して運用する業務を担います。
「内部統制」の構成要素の一つであり、ユーザーアカウントの管理方法や管理手順、社内システムの認証方式、端末やシステムに対する操作ログの収集、データのバックアップ方式など、企業における様々なITのリスクを洗い出し、それらを安全にコントロールするためのガイドラインやルールを作り、それにそって自部署の運用や、自社全体のITの運用を行います。

上記は主だった社内SEの仕事内容です。

私の会社でも、上記の仕事内容はすべて情シスである社内SEが担当しております。

 
 

社内SE(情シス)の良いところ

当項では、当記事の本題である「社内SE(情シス)の良いところ」を色々と紹介していきます。

尚、当項で紹介する個々の内容は、私自身が実際に経験したり日ごろから思っている内容であり、これらの内容が当てはまらない企業もあるかと思いますが、私はこんな環境でそれなりに楽しく働いています。

 

すべてのプロジェクトで上流工程を担当できる

システム開発会社で働いた経験がある開発系技術者であれば、所謂「ウォーターフォールモデル」における「上流工程」を任せてもらえるようになるのは一つの目標であり、その上流工程のなかでもより上流を担当することが自身の能力の証でもあります。

また、比較的規模の大きいシステムの場合、その開発プロジェクトは複数のシステム開発会社が関わり、システムの発注先であり元受けでもある大手システム開発会社を頂点として、その配下に多重的に下請けのシステム会社がぶら下がる構造になります。

このようなプロジェクトにおいて、システムの利用者であり発注元である顧客と直接やり取りしながら上流工程に参加できるのは元請けやその直下の下請けぐらいであり、その配下に多段的に存在する下請けの会社では、上流工程に関わる機会は回ってきません。

所属しているシステム開発会社が下請けの仕事しか取れなければ、その会社で働く技術者は延々に上流工程の仕事を経験できません。
このような会社や技術者は世の中に多くいます。

社内SEの場合は、自社が顧客となり、システム開発会社に自社のシステム開発案件を発注します。
その会社の情報システム部門は当然そのプロジェクトのどっぷりと関わることになります。

プロジェクトにおける、主に上流工程での社内SEの役割は以下になります。

  1. プロジェクト立ち上げ
    • プロジェクトの目的とスコープの確定
    • ステークホルダーの特定と関与の取り決め
    • プロジェクトの経済的な妥当性の評価
  2. 調査・検討
    • プロジェクトの実現可能性の調査定
    • 技術的、経済的、法的な側面の検討
    • システムの必要性の検討
  3. 要件定義
    • ユーザーとのコミュニケーションを通じた要件の洗い出し
    • 機能要件、非機能要件の明確化
    • システムが達成すべき目標の設定

さらに、「プロジェクトマネージャー」として、以下の役割も求められます。

  • プロジェクト全体の取りまとめと進捗管理
  • 各ステークホルダーとの工程ごとの調整
  • 外注管理

さらに、状況に応じて以下の役割も担います。

  • システムの方式設計やその精査
  • システムの基本設計やその精査
  • 納品物の受入試験(検収)

特に要件定義はシステム開発工程における最上流工程です。

システム開発会社であれば、構築対象のシステムにおいてどんな機能が必要になるのかを、発注元の顧客にヒアリングしながら一緒になって洗い出していくことになりますが、社内SEであれば、要件をヒアリングする対象は、そのシステムを利用したり担当する自社内の他部署です。

要件定義では、ユーザーの要望をすべて聞き取って要望通りのシステムを作るだけではなく、ITの専門家としてユーザーの要望を取捨選択しつつ、ユーザーが本当に実現したい機能を上手く汲み取り、作るべきシステムの要件として落とし込むことが必要になります。

社内SEでは、既存システムの改修や新規システムの開発に関するプロジェクトが始まる場合は、常に上記のような要件定義から関わることになります。
このように、システム開発工程における最上流から関わることができるのも、社内SEの仕事の醍醐味だと言えます。

なかの人
中の人

最上流工程の経験を積むことで「IT系コンサルタント」など別の職種への転職にも有利になります。

 

ITの専門家として組織内で優位な立場に立てる

IT系企業では従業員の大半は何らかの専門性を持った技術者であり、自身より高度なITの知識や技術を持つ人も多く居ます。

要は程度の差はあれ、ITの知識や技術を持っていることが当たり前の組織です。
その組織のなかで、自分の能力を武器に出世を目指したり立場を上げていこうとしても、相当秀でた能力を持たない限り、なかなか難しいと言えます。

かたや社内SEの場合、自部署である情報システム部門以外の従業員の大半はITについて詳しくありません。
それどころかIT自体に苦手意識を持ち、技術を学ぶことや身につけることから避ける人も多くいます。

そういった組織のなかであれば、IT系企業なかでは当たり前だった知識や能力でさえも、誰にも真似できない特殊技能として生まれ変わります。

さらに昨今では「DX」といった言葉も流行し、事業会社の企業経営にとっても、ITを上手く取り入れて事業に変革を起こすことは大きな命題になっています。
また、「電子帳簿保存法」のように、国も企業の事務処理のデジタル化を推し進めようとしており、IT人材に担うべき役割は非常に広がっています。

そういった社会の変化もあり、様々な要因から事業会社における社内SEへの期待は大きくなっており、それが社内における地位の向上や発言力を増大につながっています。

このような多くのアドバンテージを上手く活かしていくことで、会社のなかで優位な立場を確保しやすいのは、社内SEの大きな魅力の一つです。

なかの人
中の人

ラノベでありがちな「あれ、ぼくまたなにかしちゃいました?」と無双するアレの気分を味わえます。

 

ITの様々な技術領域に関わることができる

IT系企業の技術者の場合、専門性を高めることが重視され、プログラミングやネットワーク設計など、特定の分野を深堀りすることが良しとされます。

何らかのシステム構築案件において、一人でアプリの開発をしながらサーバーを建てて、ネットワークを構築するといった立ち回りをすることはまず無くて、普通はそれぞれ専門分野を持った技術者が作業を分担してプロジェクトを進めます。

専門分野ごとに技術者が作業を分担して進めることで、効率よくプロジェクトを進めることができます。

逆に言えば、仮にネットワークエンジニアがプログラミングに興味を持ち、それを仕事で関わりたいと思っても、その人を雇用している会社からすれば、その人のネットワーク分野の技術力に対して高い給料を払っており、その人が得意ではないプログラミングを業務として与えてしまうと、会社として採算が取れません。

よって、SIerなどのIT企業で働いている場合、技術者の専門外の技術領域の仕事は、簡単には関わらせてはもらえないことが多いです。

しかし、社内SEの場合はそうではありません。

企業内には様々なOA機器、ネットワークやサーバーなどのITインフラ、業務システムなどIT資源があり、それらを活用しながら事業を行っています。
これらのIT資源を適切に運用しながら管理をするのは社内SEの仕事です。

それらのIT資源は、アプリケーション開発やネットワークなど様々な分野の技術が使われており、適切に管理をするためには、その技術領域に対する知識や経験が求められます。

大きな企業の社内SEの場合は、特定の技術領域のIT資源の運用や管理を専任するような業務分担も可能ですが、大企業以外の多くの企業の社内SEは、複数の技術領域をまたいで社内ITの運用や管理をしています。

そのため、社内SEは結果的にアプリケーション開発やネットワーク、サーバー、セキュリティなど、幅広く様々な技術に関わることができます。

これは、ITの技術が好きな人にとってはたまらないお仕事です。

分野を限定せず幅広い技術領域に関わることができ、IT分野のジェネラリストを目指すことができるのも、社内SEの大きな魅力の一つです。

なかの人
中の人

ITの技術の点と点を線で結ぶお仕事とも言えます。

楽しいですよ。

 

「ユーザー」と「エンジニア」を都合よく使い分けることができる

社内SEは、取引先のシステム開発会社などのSEから見れば、ITの専門家ではなくシステムを利用するユーザーに過ぎませんが、社内の他部署の従業員から見れば、ITの専門家として扱われます。

この「ユーザー」であり「専門家」という2つの立場を上手く活用することで、社内外のコミュニケーションを自身に都合よく進めることができ、自身の立場の向上などの立ち回りに利用できます。

例えば「ユーザー」と扱われることで得られるメリットは以下です。

ユーザーの立場のメリット

  • 知らない技術領域があることが当然として許容される。
  • ITを知らないことが前提となり、あらゆることのお膳立てをしてもらえる。
  • ITの知識や技術を有していた場合、より高い評価をしてもらえる。

要はITの「アマチュア」として社外から扱われ、技術的な支援を得たり、責任を分散するといった立ち回りがしやすくなります。

次に「専門家」としての立場で得られるメリットは以下です。

専門家の立場のメリット

  • ITに関する発言力が強くなる。
  • 専門性の高い職種として優遇される。
  • ITに関する仕事を任せてもらえる。

要はITの「プロフェッショナル」として社内からは扱われ、信頼を得られやすく、社内の他部署よりも優遇されやすいといったメリットがあります。

このように「社外」と「社内」でまったく異なる立場があることは社内SEの特徴であり、それを自身に都合よく利用することで、仕事を円滑に進めることができます。

なかの人
中の人

社外には知っていることも「知らない」と言い

社内には知らないことも「知っている」と言う

これが上手く使い分けるポイントです。

 

仕事の「いいとこ取り」ができる

企業の情報システムの管理方針によって内製範囲には差異はありますが、社内SEの仕事のなかにはプログラミングが必要になる作業や、ネットワークの知識が求められる作業、サーバーの構築経験を必要とする作業など、ITエンジニアとしてシステムやインフラを作る作業があります。

このような作業をすべて社内SEが実施することはあまりなく、情報システム部門のリソース状況や納期、求める品質など様々な要素を加味しつつ、必要によって外部のシステム会社に委託しつつ、社内外で分担しながらプロジェクトを進めます。

事業会社によっては、これらの作業をすべて社外にお任せしている企業もありますが、その場合は何をするにしてもコストが掛かることもあり、軽微な作業や日常的に発生する作業は自社で対応できるようにしておくことが望ましいと言えます。

このように自社で対応する作業範囲や作業内容は事業会社側で自由に決めることができます。

自由に決めることができるなら、自部署のリソース状況やプロジェクトの納期といった現実的な基準から作業範囲を決めるだけではなく、「触ってみたい技術」や「経験してみたい工程」など、「やってみたい作業」という基準で作業範囲を決めることもできます。

例えば、サーバーの構築をやってみたいなら、サーバーの構築は自社で行い、そのサーバー上に乗せるアプリケーションはシステム開発会社に作ってもらうといった分担も可能です。

また、上流工程を幅広く経験したいなら、システム開発における詳細設計やコーティングなどの下流工程はシステム開発会社に頼むが、基本設計やテーブル設計は自社で行うといった分担もできます。

プログラミングがしたいなら、開発するシステムの主要機能はシステム開発会社に作ってもらうが、既存システムとの連携プログラムは自社で作るといったことも可能です。

このように、実際は社内SEの個人的な嗜好やスキルアップを目的にした内製であっても、結果的には以下のメリットがあります。

  • 外注する作業工数が軽減され費用が抑えられる。
  • 構築するシステムやインフラへの理解が深まる。
  • 外注と内製をバランス良く取り入れた強い組織が作れる。

当項の見出しで書いた「いいとこ取り」とは、やりたい作業は自分たちでやり、やりたくない作業は外部にお願いすることができると言う意味です。

因みに、事業会社の社内SEだけではなく、システム開発会社などのSIerでも作業を部分的に、又はまるっと下請けに委託することもできますが、SIerはそのプロジェクトを受注した際の見積金額を超えるコストを掛けて外注することはできないため、SEの個人的な嗜好や興味などで外注する作業範囲を選択することはできません。

社内SEの場合は、プロジェクトを遂行する原資は自社の事業の売上であり、極端に言えば事業が赤字ではない限り無限にコストを掛けることができます。
流石に無限に、は言い過ぎましたが、社内SEの場合は上記のSIerと比較しても、上手く立ち回ることでやりたい作業を自由にやらせてもらえる環境にあると言えます。

この部分も社内SEの大きな魅力の一つだと思います。

なかの人
中の人

個人的には、このような内製を「ゆるい内製」と呼んでいます。

 

専門的な知識や高度な技術がなくても活躍できる

SIerなどのIT企業で活躍する人の多くは、何らかの技術領域に秀でていて、その高い技術力や高度な知識を活かしながら働いています。

ITに対する専門的で深い知識があり、高度な技術を有しているほど評価され、自身の市場価値も上がります。

SIerなどのIT企業では、ITを駆使してシステムを構築することが求められ、より大きなシステムや複雑なシステムを作るためには、より高度な知識や技術を持つ技術者が必要になるからです。

ただし、社内SEの場合は、仕事の目的が異なるため、評価基準も大きく異なります。

社内SEもIT職種であり、ITに関する専門的な知識や技術が求められることに変わりはありませんが、IT企業ほど重要視されません。

社内SEの一般的な業務内容については当記事でも紹介しましたが、それらの業務内容の根幹にある仕事の目的は以下です。

自社内のIT資源を適切に管理、運営し事業に貢献すること

このためにヘルプデスク業務があり、OA機器の管理をし、社内システムの運用をします。

IT資源を適切に管理、運営する業務の延長線上には、そのIT資源を構築する業務も含まれています。

その場合、自社内で使用する業務システムを構築したり、ネットワークやサーバーを構築することになりますが、それは必ずしも社内SE自身が手を動かして実作業しなければいけないわけではありません。

もちろん社内SE自身にそのような能力があることに越したことはありませんが、社内SEはシステムやインフラを結果的に作り上げれば良いわけで、手を動かして構築する作業は誰が実施しても問題はありません。

要するに、社内SEは業務システムの運用や新規開発をするからと言って、必ずしもプログラミング能力が欠かせないものではなく、ネットワークの拡張やサーバーのリプレイスをするからと言って、必ずしもTCP/IPの知識やCUIコマンドが叩ける必要はないと言うことです。

ITの技術力より大事なのは、自社内の困り事や要望を漏れなく聞き取る能力や、社外のITベンダーなどに対して正確に要件を伝え、プロジェクトを円滑に回す折衝能力、自社に必要なITを適切に分析し、経営陣や上司に提案できる提案能力です。

それらの能力が十分に備わっているなら、ITの高度な知識や技術は必要ありません。
むしろ、これらの能力のほうがITの能力より遥かに重要だと言えます。

このように、高度なITの能力がなくても、それ以外の能力で活躍することができるのも、社内SEの大きな魅力の一つです。

なかの人
中の人

社内SEはITを使い「どう作るか」ではなく「何を作るか」が大事です。

 

その他の色々な良いところ

これまで紹介してきた内容以外にも、様々な良いところがあり、一般的に広くイメージされている内容であったり、私が個人的に感じている部分を簡単にまとめていきます。

その他の良いところ

  • 導入するサービスや製品を自身で選定して提案できる。
  • 納期調整がやり易い。
  • ミスや不具合が許容されやすい。
  • 業種固有の業務知識や製品知識が得られる。
  • IT以外にも会計やマーケティングなど幅広いスキルが身に付く。
  • 過度な残業や長時間勤務が比較的少ない。
  • 非IT部署と仕事をすることで気付きや刺激になる。
  • 福利厚生が整っているケースが多い。

SIerなどのIT企業でも、顧客である事業会社に対してサービスやIT製品の提案をすることはありますが、社内SEの場合は、自身の同僚や場合によっては自分自身も使用することになる製品を選定することになるため、同じ製品選定でも視点は変わりますし、よりやりがいや面白さに繋がります。

あと、事業会社の社内SEは様々なプロジェクトに関わりますが、基本的には社内がユーザーであり、各プロジェクトの納期調整はやり易いと言えます。
ひと昔前のシステム開発会社のように、納期に間に合わせるために技術者が徹夜で作業をするといった状況には陥り難いです。

また、プロジェクトでミスがあったり開発した業務システムに不具合があった場合なども、ユーザーはあくまで社内であり言ってみれば「身内」です。
会社間の取引でミスや瑕疵があれば事は大事になる場合もありますが、社内SEであれば依頼元も同じ会社の社員であるため、許容され易いと言えます。

社内SEが就業する企業の業種によって、その業種固有の様々な専門知識や業務知識が得られるのも魅力です。
また、社内SEは自社の様々な部署を跨いで仕事をします。
そのなかで、他部署の主業務である会計やマーケティング、労務管理、契約管理など様々な業務にも触れることになり、それらとも深く関わることで、自身のスキルとして身に付いていくことも多いです。

これはあくまで会社によって大きく差があるとは思いますが、事業会社の場合は、比較的労務管理を厳しく行っているところも多く、一部のIT企業のように過度な残業などの長時間労働が常態化してしまうケースは少ないです。
その企業の規模が大きくなるほどその傾向は強くなります。

あと、社内SEは自社内の様々な部署の社員と一緒に仕事をしますが、その人たちの大半はITに詳しくはない人たちです。
IT技術者はついついITこそ最も優れた技術であり、最も尊重されるべきといった発想になりがちですが、非IT職種の人たちも皆さん仕事に誇りをもってやっていたり、我々には真似できない専門的な知識や技術を有していたりします。
そういった人たちと触れ合うことで気付かされることも多く、大変良い刺激になります。

あと、これも会社によるところが大きいと思いますが、SIerなどのIT企業よりも、社内SEが勤める事業会社の方が、福利厚生を手厚くしている場合も多いです。
IT企業の場合は人の入れ替わりも多いため、求人票の見栄えを他社より良くするために、福利厚生を薄くしてその分賃金を高く設定していたりします。

これは採用した社員が長く働いてもらえるように人の定着を狙うか、短期間で辞めることを想定し、雇用条件として比較しやすい「賃金」を高くして人を集めやすくするかの違いであり、どちらが優れているわけではありませんが、腰を据えて長く働いていこうと思った場合は、企業年金や退職金がしっかり準備されていたり、様々な手当や助成制度が用意されている企業のほうが安心できるのではないでしょうか。
 
 

最後に

今回の記事では、SIer出身の私が非IT系事業会社の社内SEを2社勤めて、その経験から日々感じている社内SEの良いところを色々と紹介しました。

記事の冒頭でも記載したように、実際には良いところばかりではなく、現在の職場や社内SEの仕事自体に不満や嫌いなところもありますが、この記事で書いた内容は私が実際に感じている内容であり、同じく事業会社の社内SEとして働いている人であれば、いくつの内容については共感していただけるのではないかと思います。

最近のIT業界では、昔ほど社内SEの人気はなくなっており、事業会社が社内SEの中途採用をしようとしてもなかなか人が集まらないと聞きますし、実際に私の勤めている会社でも最近中途採用で苦労をしました。

今回の記事をきっかけに、社内SEを目指す人が少しでも増えてくれるといいなと思っています。

今回も長々と読んでいただきましてありがとうございます。
それでは皆さまごきげんよう!

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