今回の記事では、32bit版Accessランタイムと64bit版Office(ExcelやWordなど)を同じ端末内にインストールする方法を紹介します。
当記事で想定している具体的な製品構成としては、例えば64bit版Windowsに「Office Personal 2019」や「Office Home & Business 2021」などの64bit版Officeがプレインストールされている端末に対して、「32bit版Accessのランタイム」をインストールして共存させたいケースです。
そもそも「何故そんな組み合わせでOfficeを使用する必要があるのか?」と思う人もいるかも知れませんが、世の中の企業のすべてが、社内で使用するOfficeのライセンスをボリュームライセンスやMicrosoft 365などのサブスクリプションで利用できるわけではないのです。
異なるアーキテクチャのOfficeは本来共存できない
今回わざわざ記事にしているとおり、一つの端末内に32bit版のOfficeと64bit版のOfficeを同時にインストールすることはできないように制限がされています。
例えば、Accessは32bit版、ExcelやWordは64bit版といったインストールはできません。
ExcelやAccessを単体でインストールしようとした場合に、既にアーキテクチャの異なる製品がインストールされていた端末では、エラーメッセージが表示されてインストール処理は中断します。
よって、本来は32bit版、64bit版のどちらかでOffice内の各アプリケーションは統一することが必要になります。
これは、現在のMicrosoft Office製品における仕様です。
【おまけ】知っておきたいインストールできないOfficeの組み合わせ
当記事の主題から外れますが、参考までに知っておいてほしい、Microsoft Officeの各製品において、インストールできない組み合わせも紹介しておきます。
「個人向け買い切り版Office 又は プレインストール版Office」
×
「Microsoft 365 などのサブスク 又は LTSCなどのボリュームライセンス」
上記の組み合わせは同じ端末に共存ができません。
例えば、Office Personalがプレインストールされている端末に対してPowerPointを追加する必要があり、LTSC(ボリュームライセンス)でPowerPointを購入して同じ端末にインストールしようとすると、既にインストールされているOffice Personalをアンインストールして良いか確認メッセージが表示され、承諾すると自動的にOffice Personalをアンインストールしたうえで、LTSC版のPowerPointをインストールします。
「MSI形式のインストーラーでインストールしたOffice」
×
「クイック実行形式(C2R)のインストーラーでインストールしたOffice」
上記の組み合わせも同じ端末に共存できません。
Officeのインストーラーとして昔から提供されている「MSI形式」のインストーラーでインストールしたOfficeと、Office 2013以降で提供されている「クイック実行形式(C2R)」のインストーラーでインストールしたOfficeは共存できません。
参考までに、今回の主題である32bit64bit間での共存や、当項で紹介した組み合わせの共存について言及したMicrosoftのページのリンクを掲載しておきます。
【おまけ】Accessランタイムとは
当項も、今回の記事の主題から外れますが、Accessのランタイムについて紹介しておきます。
「Microsoft Access」は、Microsoft Officeスイート(スイート:製品群)を構成する製品の一つで、「個人向けデータベースソフト」です。
Access自体の特徴や、どんなことができるのかについては、当ブログで過去に紹介しております。
もし興味があれば以下のリンクもご一読ください。
上記のリンク先でも解説していますが、Accessでは、用意されているフォームや各コントロール、クエリやマクロを登録したり、VBAでコードを書くことにより、本格的な業務アプリケーションの作成も可能です。
このアプリケーションは、Accessがインストールされている端末であれば、作成したAccessファイルを開くことで利用することができます。
ただし、Accessは同じOfficeスイートであるExcelやWordのように、企業のOA事務作業において必須といった位置づけではなく、使いこなすには相応の知識も必要になる特殊な製品です。
また、企業で購入するボリュームライセンス版Officeでは、以下の二種類のスイートを、使用者の用途で分けているケースも多いです。
- Office Standard
- Office Professional
「Professional」にのみAccessが含まれています。
Accessで作成した業務アプリケーションを使用する場合は、必ず「Office Professional」を購入するか、Accessを単体で購入しないといけないかと言えば、実はAccessで作った業務アプリケーションを利用するだけなら、無償版のAccessが使えます。
その無償版のAccessが「ランタイム」です。
有償版のAccessのように、クエリを作ったり、フォームを作るといった操作はできませんが、Accessで作成されたアプリケーションを実行するだけなら、ランタイムさえインストールされていれば可能です。
このように、ランタイムを上手く活用することで、Microsoft Officeのライセンス費用を節約することができます。
後ほど、Accessランタイムのダウンロード先のリンクも紹介いたします。
32bit版Accessランタイムと64bit版Office製品の共存可能な組み合わせ
当項から記事の主題になります。
前述したとおり、32bit版Officeと、64bit版Officeは同じ端末内にインストールすることはできません。
これはAccessの無償実行環境である、ランタイムをインストールする場合でも同様です。
既に64bit版のExcelやWordなどがインストールされている環境に対して、32bit版Accessランタイムをインストールしようとすると、共存できない旨のメッセージが表示されて、インストールは中断されます。
ただし、Accessのランタイムのバージョンによっては、既にインストールされているOfficeのアーキテクチャを判別するチェック処理がインストーラーに組み込まれておらず、32bit版Accessランタイムをインストールできてしまいます。
そのバージョンは「Access 2010」のランタイムです。
32bit版Access2010ランタイムは、64bit版Office環境にインストールすることが可能です。
尚、32bit版Accessランタイムは、64bit版Office製品より後にインストールする必要があります。
Access2010ランタイムは以下のリンク先からダウンロード可能です。
既に10年以上前のバージョンの製品であり、いつダウンロード用のリンクが消えてしまうかわからないため、念のためダウンロードして保管しておくことをおススメします。
上記のリンクにある「ダウンロード」を押下すると、以下の画像のように、ダウンロードするファイルを選択するポップアップが表示されます。
AccessRuntime_X64.exe:64bit版ランタイム
必要なインストーラーをダウンロードしておきましょう。
最後に
今回の記事では、64bit版Officeがインストールされている端末に、32bit版Accessランタイムをインストールする方法を紹介しました。
最近の新しいプレインストール版のOfficeでは、通常64bit版のOfficeがインストールされています。
ただ、Accessの業務アプリケーションを開発した端末で32bit版のAccessを使用していた場合、ユーザーの端末にインストールするAccessランタイムも32bitにしておく方が望ましいです。
このようなケースで、今回の記事で紹介したような、64bit版Officeがインストールされている環境に対して32bit版Accessランタイムを共存させることが必要になります。
どなたかの参考になれば幸いです。
それでは皆さまごきげんよう!